森たかゆきのブログ

中野区議会議員(立憲民主党)森たかゆきの公式ブログです

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「中野区の待機児童を減らす会」からの公開質問へのご回答

「中野区の待機児童を減らす会」の皆さんから公開質問状をいただきましたので、ここに私の回答を掲載いたします。
私自身、力を入れてきたテーマであり、また、結果的には待機とならずに済んだものの保育園の利用申し込みをして不承諾通知を受け取った当事者でもあります。書きたいことが沢山あったのですが、削りに削って何とか5000字まで減らしました。ここには、その全文を掲載します。お時間のない方は、FBページに概要版を掲載しましたので、こちらをご覧ください(それでも2000字くらいありますが…)。

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中野区の子育て政策についての公開質問状への回答

1.中野区の待機児童対策は今後どうあるべきとお考えでしょうか。

・長期計画への位置付けと目標の立て方の見直しが根本課題
第一に必要なのは、来年改訂される区の長期計画(基本構想・新しい中野をつくる10カ年計画)に、待機児童解消も含めた子育て環境の改善を区政の最重要課題と位置付けることです。それによって、子育て担当部署だけでなく区役所全体を挙げた子育て環境改善の取り組みを行う体制づくりにつなげます。
第二に、目標の立て方の見直しが必要です。中野区はこれまで「27年度待機児童ゼロ」を目標に掲げていました。この達成は厳しい状況ですが、仮に実現できていたとしても28年度どうなるかはまた別の問題であり、保護者の不安は解消できません。待機児童解消の目標は、「単年度ゼロの実現」ではなく「ゼロ状態の継続的な実現」とするべきです。こうした目標変更により施設整備のスピードアップも促していきたいと考えています。

・現実的には小規模施設も含めた対応が必要
具体的な施設整備については、園庭付きの認可保育園を増やせれば一番よいのですが、認可保育施設に適した物件の確保が困難にもなってきています。当面は小規模保育施設も含めて保育定数増を図っていく必要があると考えます。

・「3歳の壁」への対応
小規模保育施設については、子ども子育て支援新制度の中で卒園後の受け皿となる「連携施設」を設定することが定められましたが、これには5年の猶予も設けられています。既に、いわゆる「3歳の壁」と言われる問題が生じていますが、今後は3歳以降の受け皿が更に不足することも考えられます。また、3歳という時期に環境が変わることを心配する声も聞かれます。後者については、以前に議会で取り上げたところ、区長から「認可保育園の転園に当たっては、これまでも適切な対応が図られており、保護者が不安を抱くことはないと考えております」と答弁があり大変驚きましたが、施設の拡充と共に心理面のケアも必要であると認識しています。(余談ですが、我が家も小規模施設にお世話になることになりましたので、この問題についてはまさに当事者です。)

・質の確保
数だけでなく質の確保も同時に取り組まなくてはいけません。27年度から認可外施設を利用する保護者の方にも補助が出ます。認可外の届け出を受けているのは東京都ですが、中野の子どもたちの通う施設である以上、区としても一定の関わりが必要であると考えます。
保育園での事故については、区が情報を把握した上で発生原因と再発防止策を区内全園で共有すること、それにより一か所の保育園で起きた事故と同じ原因の事故は区内全ての保育園で二度と起きない体制とすることを求めてきました。制度上、区が認可外施設にどこまでかかわれるかは課題もありますが、必要に応じて東京都とも連携をしながら事故の実態把握と再発防止に取り組む必要があります。

・広域調整
23区内のほぼ全域で待機児童が発生している状況を考えると、仮に中野区が待機児童を解消したとしても、次の年には子育て世帯が流入しまた待機が発生してしまうということも想定されることから、広域調整(自治体間の需給調整)が必要になります。子ども子育て支援法上、これは東京都の役割ですが、都はこれを基礎自治体任せにしようとしているようです。法律上の責任を果たすよう都議会議員とも連携し東京都に働きかけます。

・財源確保
当初、子ども子育て支援新制度に必要な財源約1兆円は、消費税の10%への引き上げと同時に確保されるという話でした。10%への引き上げが延期になったにも関わらず、7000億円の予算が確保されたことは評価しますが、今後の展開(特に幼稚園の子ども園への転換が進んだ場合)によっては予算不足になることも懸念されます。国において財源の確保が確実になされるよう、国会議員とも連携して求めていきます。

 

2.このままでは学童保育も待機児童増加が心配されます。今後の学童保育はどうあるべきとお考えでしょうか。

学童クラブについては、今後需要が増加していくことは間違いないだろうと思われます。既に一部の地域では待機が発生してしまっていますが、保育園のように全区で継続的に待機が発生するような状況になる前に手を打つ必要があります。
現在の学童クラブは運営実態が多様であり、一定水準以上の質を保つためにも統一的な指針を定める必要があります。具体的な内容は現在国で議論されている最中でありますが、いずれにしても、子どもの発達段階に応じた対応をしていくこと、単なる預かり場所ではなく児童の発達に資する環境とすることを基本に整備を進めていくべきと考えています。27年度以降6年生までが対象となりますが、需要の伸びや保育の必要性の観点から、まずは低学年の対応を優先すべきと考えます。
高学年層については、U18やキッズプラザなど他の事業や習い事などとの関係から、どの程度需要が伸びていくのかを見極めなければなりません。場所によっては学童とキッズプラザが同一敷地をシェアして使っている部分もありますが、双方の需要が伸びればこのやり方には限界が出てきます。学校に限らない他の公共施設や民間所有のスペースの確保も含めて検討していきます。また、「保育園が充実していただけに、学童に入るとギャップを感じる」といったご意見も頂いています。特に、長期休暇の間と実施時間の点で両者には大きな差があるのが現状です。実施時間を前と後ろに延長すること(7時半から20時くらいのイメージ)や、給食のような仕組の導入も検討の必要があると考えています。

3.以前中野区役所職員より、数年後から中野区の子供の数が減っていく推定のため、子供の減少を前提に子育て政策をすすめていく、と言われました。ご自身もそう思われますでしょうか。

ご質問に直接答えるとすれば、「分かりません」というのが回答になります。子どもの数の推移は住宅供給量などの市場動向にも大きな影響を受けるため、人口の流出入の多い中野区ではなかなか予測が困難です。更に、ここに来て国が「地方創生」の一環として、地方から都心部への人口流入を抑制していく方針を示してきました。この方針が実際にどれだけ人口移動に影響を与えるかも未知数です。区の施策推進の上では人口推計を出さない訳にはいかないので推計の精度向上ももちろん必要ですが、不確定要素が多くこれまで以上に推計は困難になっていくと思われます。そこで、以下の2つの「柔軟性」が必要になります。

1.計画の柔軟性
行政の作る計画には、基本的には「プランA」しかありません。計画策定段階の情報に基づいてシナリオを作り、それに沿って行政運営を行います。しかし、計画策定段階は、最も情報が少ない状態であり、その段階で計画を固定化してしまうことには大きなリスクがあります。PDCAサイクルを回しつつ、計画と異なる状況が発生した際には、それに合わせて計画を適宜見直していく必要があります。(これは子どもの数に限らず区のあらゆる計画に共通する問題です。)

2.施設整備の柔軟性
合わせて、人口動態がどうなろうとも柔軟に対応できる施設整備というものも考えていかなくてはなりません。残念ながら子ども子育て支援新制度がスタートしても幼稚園から幼保連携型認定こども園への転換はほとんど進んでいません。この転換を政策的に誘導し、幼児教育の需要にも保育の需要にも柔軟に対応できる体制にしていくことも必要です。
また、子どもたちの安全に配慮して作られた保育施設は通常の物件よりも高齢者施設への転換がし易いはずです。保育需要がピークアウトした後は特養などへの転用をすることをあらかじめ想定した上での施設整備なども考えられます。

なお、全国の自治体同様、中野区でも公共施設の総合管理計画を策定する必要に迫られています。単純に現状の施設規模を維持しようとすると約2600億円の費用がかかると試算されており、区財政を考えると区有施設のダウンサイジングは避けて通れません。個別のケースでは区民の皆さんにご不便をおかけする場面も出てくるのではないかと想定されますが、出来る限り区民生活に影響の出ないよう、柔軟な施設設計、複合化など知恵を絞っていくべきと認識しています。

4.中野区の子育て政策について、現在の問題点や、こう変えていくべき、というお考えがあればお願い致します。

区議会議員としても、昨年父親になった1人の区民としても、中野区の子育て環境の改善は喫緊の課題であると認識しています。合計特殊出生率0.93は全国最低レベル、中野区から引っ越しをされていかれる方の5人に1人が「子育て・教育環境がよくないから」を理由として挙げ引っ越し理由の2位になっている。こうした状況を何としても変えていきたいと考えています。我が家も共働きなので、保育園の申し込みをしました。2次調整で不承諾通知を受け取ったときは、本当にどうしようかと悩みました。幸い希望を出していた小規模保育施設に空きが出て待機とはならずに済みましたが、この間、妻の復職時期は二転三転。会社に理解がなかったらどうなっていたかと考えると、恐ろしくなります。この状態で「女性が輝く社会」なんて実現しようがないと、妻と二人、身を以って感じたところです。

しかし、残念ながら中野区の待機児童問題への取組みは、ここに来て少し腰が引けてしまっているように見えます。26年度は6億円という多額の補正予算を組んで保育施設整備に取り組んできましたが、結局思うように整備が進まず予算が余ってしまいました。そのことが役所内で問題視されたからなのか、今年度予算で予定されている保育定員増は昨年度整備できなかった分+100名分程度にとどまっており、これで需要の増加に追いつくのか大変心許なく、既に28年度の待機児童発生が危惧される状況です。

保育士確保の取組みについても同様です。国の制度を活用して保育士の家賃補助を始める自治体が出てきました。議会で中野区でも同様の取組みを求めましたが、区としては、これまで保育士不足になっていないから必要ないとの認識でした。しかし、新しい制度が始まりそれを活用する自治体が出てきている以上、「これまで大丈夫だった」は「これからも大丈夫」であることの根拠にはなりません。
保育士さんの確保については、他にも、4月からの新制度で誕生する「子育て支援員」のキャリアアップ支援や、長期間離職されていた保育士資格保有者への研修機会の提供など、他の方法も合わせて取り組む必要があると考えます。
こうした部分も含めて、もう一度、待機児童問題解消への取組みのアクセルを踏ませなければなりません。

子育て環境の改善は、待機児童問題だけに留まりません。27年度から産前・産後ケアシステムがスタートしますが、まだ具体的な仕組みが決まっていない状態です。使いやすい制度となるよう、当事者としての立場からも政策提案をしていきたいと考えています。他にも、病児・病後児保育の充実、予防接種の費用助成、授乳やおむつ替えのできる施設の整備、ファミリー向け住宅の供給、子どもが安心して遊べる居場所づくり、公園整備、バリアフリー化、受動喫煙対策など、挙げればきりがない程の要素を総合して、そのまちの「子育て環境」は評価されるものだと思います。だからこそ、冒頭にも書いた通り、来年度改定予定の区の長期計画に子育て支援を最重要課題として位置付け、全庁的な取り組みを促していかないといけません。当然、財政面での課題も出てきますが、子育て支援への支出は単なるバラマキではなく未来への投資であるという立場から、積極的な取り組みを求めていきます。

最後に、私の現在の取組みについて2点お知らせをさせてください。

  • 私は子育て支援政策の検討にあたって、webアンケートを行っています。この結果を踏まえて、告示日までに最終的な自分の政策を決定したいと考えておりますので、ぜひご協力お願いいたします(子育て版と総合版の2種類を用意しています)。

子育て版

https://jp.surveymonkey.com/s/TGKPB58

総合版

https://jp.surveymonkey.com/s/TGKLWHL

  • 私は「政策本位の選挙の実現」を目指して、早稲田大学マニフェスト研究所の「マニフェストスイッチプロジェクト」に賛同・参加しています。統一フォーマットに沿って書いた私の政策はこちらでご覧いただけます。ここでも、最重要課題に教育・子育てを位置付けています。

https://area34.smp.ne.jp/area/card/14892/39cNkB/M?S=qjlar7lg7k

 

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