中野区議会議員の森たかゆきです。
中野区長選挙・区議会補欠選挙の真っただ中です。
やはり中野サンプラザの建替問題は全国的な注目を集めているようで、ネットでも様々な記事や著名人のコメントを見かけます。
ただし、中野区長選挙の争点はそれだけではありません。何を重視して投票先を決めるかは有権者の皆さんそれぞれがご判断されることですが、私としては現区政の子育て支援施策の評価も一つの大きな争点であると考えています。
今年の中野区議会第一回定例会の初日、区長は所信表明の中で突然「地域社会や行政のあり方を子育て第一の形に変えていく根本的な発想の転換が必要」と述べられました。
子育て支援については、全ての区民の理解や協力を得ながら、地域社会や行政のあり方を子育て第一の形に変えていく根本的な発想の転換が必要だと思います。誰もが産み育てたいと思えるまち、どのような環境に置かれた子どもも健やかに成長できる地域社会を目指していくことが重要です。
16年区長をやっていて今更「転換」と言われても…と思う反面、子育て支援が大切ではないと言われるよりは大切だと言っていただける方がいいのは当然です。問題は、実際に区政が「子育て第一」に転換しているのか、です。私は、この点を今年の予算総括質疑で質しました。少し長いですが、議事録を引用します。
森 子育て関連事業について歳出を伺っていきます。1,300人増を目指した保育施設整備、保育士確保策、待機児童、代替保育支援、これは後で触れますけれども、あと、児相の設置準備などは我々も評価をするところでありますが、しかし、発想の転換というよりはこれまでの施策の延長線上という意味合いが強いのかな、不十分だなというふうに感じます。そこで、我々からさまざま御提案してきた事業の反映状況について伺いたいと思います。
まず就学援助の支給基準です。生活保護基準の1.15というのは厳し過ぎるんじゃないかと。1.2にするべきじゃないかと求めてまいりました。対応はどのようになっていますか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 平成30年度の就学援助の準要保護者の認定基準でございますが、生活保護基準の1.15倍でございます。
○森委員 ありがとうございます。
次にいきます。子どもの貧困ないし生活実態の調査ということで実施を求めてまいりました。予算への反映状況はいかがでしょうか。
○高橋子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 平成30年度予算案におきまして、子どもの経済状況に着目した個別調査については計上してございません。
○森委員 ありがとうございます。ストップイット、LINEなどを例に挙げて提案をしたSNSいじめ相談事業はいかがでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 SNSを活用したいじめ相談事業については、平成30年度予算案には計上しておりません。
○森委員 区立幼稚園の民営化、こども園化方針に変更はありますでしょうか。
○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 陳情採択の重みについては受けとめているところでございますが、陳情で示された懸念や心配につきまして、理解をいただけるよう努めているところでございます。認定こども園への転換の目的でもある、10か年計画にも書かれたライフスタイルに応じた保育の拡充、こうしたニーズについては今も必要なものであり、改める考えはないといったところでございます。
○森委員 区立保育園のほうの民営化方針はいかがでしょうか。
○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 区立保育園の民営化につきましては、施設の老朽化の状況とともに、建てかえに伴い、必要となる仮設園舎の用地確保の実現性を勘案いたしまして、順次進めていく方針に変わりはございません。
○森委員 児童館の全館廃止方針はいかがでしょうか。
○上村地域支えあい推進室参事(地域子ども施設調整担当) 児童館については、キッズ・プラザの開設とともに廃止していく方針に変更はございませんが、現在、出生児数の増加傾向、働く女性の増加や孤立した子育ての支援、特別な支援を必要とする子どもの増加など、さまざまなニーズが顕在化している状況でございます。こうした増加する子育て支援の地域ニーズに対応するため、現児童館施設を含め、施設の活用、地域資源として活用を図ってまいりたいと考えております。
○森委員 児童館以外はほぼゼロ回答かなというふうに思います。ほかにも不妊治療の助成ですとか、学習支援事業、高1前半ぐらいまでの拡大とか、もうちょっと大きい話だと、給食費の無償化とか、いろいろあるんですけれども、最低限今確認したようなところをやっていただかないと、なかなか子育て第一への根本的な転換とは全く言えないんじゃないかなというふうに思っております。
読んでみてどうお感じになられますでしょうか。最後に私は「児童館以外はゼロ回答」と言っていますが、その児童館についても何か具体的な方針転換があったわけではありません。
これではどう考えても「子育て第一」ではないのは明白なので、もしかしたら区長選挙で何か新しい施策を公約にするのではないかという予想をしていましたが、その予想は的中。区長選挙に向けて「保育園を利用していない0,1,2歳児のいる家庭に月2万円の子育て応援券を支給する」と言い始めました。
私たちの会派も、保育園に対する財源の投入量に比べて家庭で子育てされている世帯への支援が弱いということは指摘してきました。区長の公約とは少し内容が異なりますが、「保育園を利用していない世帯への金銭的な支援」という政策は、昨年の都議選の際に民進党都連が掲げたものでもあります。
こうした経緯もあり、私としては、「子育て応援券」そのものを否定するつもりはありません。問題は、施策の優先順位です。区長は公開討論会で(詳細は説明せずに)「財源はある」と断言しました。私もあると思いますが、財源があるからといって施策の優先順位を無視していいことにはなりません。
区長が全廃しようとしている児童館は、ご家庭で子育てをされている親御さんにとって貴重な地域の居場所です。区の職員が、ママ友・パパ友作りのコーディネートをしたり、少し様子の気になるお子さんがいればお声掛けをしたり必要に応じて支援施策につないだり、民間の子育て支援団体が立ち上がったり、地域の子育てコミュニティの核としての役割を果たしているのが児童館です。こうした施設の機能は、親に2万円を渡したからといってどこかに代替する施設が見つけられるわけではありません。単に日中子どもを遊ばせるだけの施設であれば民間の施設もありますが、児童館の役割はそこに留まらないというのは前述の通りです。
まず中野区がやるべきことは、児童館を存続させることであり、「子育て応援券」については児童館存続を前提にした上で財源的な課題も含めて改めて検討するべきものではないかと考えます。
そうした区政への転換を目指して、今しばらく酒井直人さんと共に活動してまいります。
LEAVE A REPLY