立憲民主党 中野区議会議員の森たかゆきです。
本日は、中野サンプラザで行われた長妻昭衆議院議員の時局講演会にて、「ミスター文部省」の異名を持つ寺脇研氏の講演「道徳教育が危ない!」を拝聴してきました。寺脇氏と言えば「ゆとり教育」推進のキーマンであり、10年以上ゆとり教育肯定論者であり続けている私としては、彼の講演を聴けることを非常に楽しみにしていました。しかも、テーマが「道徳教育」です。愛国心や特定の価値観の押し付けにつながることを懸念し、私も議会で取り上げてきた問題です。
講演の中で私が気になった箇所をピックアップして以下に紹介します。
・道徳の教科書には、「正しい挨拶の仕方」が載っている。挨拶してから礼をするか、礼をしてから挨拶するか、挨拶しながら礼をするかと選択肢があって、一つ目が正解らしい。でも、調べてみてもそんな習慣が昔から日本にあったわけではなくて、あるビジネスマナー会社が言い始めただけのこと。外国人の児童生徒も増えて色々な挨拶の仕方があるのに、そんなことを教えて何になるのか。
・8つの検定教科書すべてに載っている教材の一つに「かぼちゃのつる」という話がある。擬人化されたかぼちゃが好き放題につるを伸ばしていたら、つるを車にひかれて痛い思いをするという話で、わがままな行いをしていると痛い目を見るということを教えたいようだ。でも、ひき逃げをした車の責任が問われないのはおかしい。
・「星野君の二塁打」という話が載っている。監督にバントを命じられた星野君が、打てそうな球が来たからバットを振ったら二塁打になってチームは試合に勝った。しかし、監督は「チームの輪を乱した」「犠牲の精神が分かっていない」と叱り、出場停止処分を科す。その話に対して、「星野君の何が悪かったかみんなで考えよう」といった、星野君が悪いことを前提とした設問が付いている。「上からの命令は絶対」ということになってしまう。
・「星野君の二塁打」よりも「宮川君のタックル(日大の反則タックル問題)」を題材にした方が子どもたちはいろいろなことを考えられてよいのではないか。
・不正統計問題を見ても分かる通り霞が関の道徳は崩壊している。そんな中で子どもたちに道徳を教えようとしている。
・「道徳」よりも「公共」を学んだほうが良い。子どものころから「公共」という言葉に触れるだけでも意味がある。
中野区内の小学校でも、道徳教育は始まっています。色々なところから聞いている話を総合すると、今のところ現場は手探りで非常に苦労しているようです。「特定の価値観の押し付けにつながらないように」と気を遣っている様子も伝わってきます。制度としても点数評価はせずに記述式の評価になっていますし、人との比較ではなくその子がどう成長したかを評価する仕組みになっています。全体として、長妻昭衆議院議員らが国会で問題視したような点については相当の配慮がされているように感じています。
しかし、逆に「せっかく愛国心を教えているのに点数評価をしないのはけしからん。入試で利用しないのはけしからん。」といった世論が盛り上がってしまったらどうなるでしょうか。そちらの方向に流れていってしまうのではないかと強く危惧しています。そうした社会にならないように、私は自分の持ち場で取り組みを続けたいと考えています。
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