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マイナンバーカードは何故普及しないのか―「便利にしないと誰も使わないけど、ある程度使ってくれる人がいないと便利にする労力をかけられない」ジレンマ

立憲民主党 中野区議会議員の森たかゆきです。

中野区議会は予算審査の真っただ中です。私が所属している予算特別委員会区民分科会では、所管にマイナンバー関連業務が含まれているので、マイナンバーカードの普及が進まない理由について質疑をしました。

この質疑をするにあたって、私の頭の中にはある事件のことがありました。今年一月、仙台市でミルクを買うお金がなく生後1か月のお子さんが餓死してしまったという事件です。
1カ月乳児餓死、母逮捕 仙台「ミルク代なかった」

何故、この赤ちゃんに、このご家庭に、行政の支援が届かなかったのか。申請主義から脱して必要な人に必要な支援を行政側からお知らせできるようになることがマイナンバーの最大のメリットだったのではないか。もしそれが実現していたら、この子は救えたのではないか。こうした疑問を持ち、当時こんなツイートをしていました。

審査の当日は、私の前に公明党の久保議員から、マイナンバーのメリットや普及が進まない要因などについて質疑がありました。久保議員への答弁では、「申請主義からの脱却」の話が出なかったので、私からはその点について質しました。議論の前提として、中野区のマイナンバーをめぐる状況は以下の通りです。

・マイナンバーカード普及率は平成29年度現在で21.6%(ただし、住民基本台帳カード含む)

・年齢別で見ると高齢者の方が普及率が高い傾向。(単に身分証明書として利用している方が多い?)

・利用できる行政サービスの情報をプッシュ型の通知で受けるためには、マイナポータルに登録する必要がある。

・具体的な数字は不明ですが、マイナポータルの登録者はごくごくわずか。

戸籍住民分野と情報システム分野の担当課長と色々やり取りをしたのですが、結局のところ、こうした状況では通常の広報・お知らせに加えてマイナポータルにも情報を流す作業をするだけのインセンティブが各業務所管になく、マイナンバーを利用した行政サービス通知が進んでいないということのようでした。マイナンバー普及のためにはマイナンバーが便利であると皆に感じてもらわないといけないのだけれど、行政としてはある程度普及が進まないとマイナンバーを便利にするための作業に人を割けないということですね。

殆ど誰も見ていないようなところに情報を流す作業が無駄に思えるという感覚は理解ができます。しかし、それではいつまで経ってもマイナンバーは普及せず、これまでの巨額の投資な何だったのかという話にもなってしまいます。少しずつでも行政側から情報流していくべきではないか、そうすれば口コミなどで普及が進むこともあるかもしれないといった話をして、質疑を終えました。

マイナンバー制度がフル活用できるようになった際の効果は非常時大きいものだと思います。例えば、「給付付き税額控除」の実現です。今年10月から消費税が10%に引き上げられます。立憲民主党は、消費税増税に伴う低所得者層への対策は給付付き税額控除で行うべきと主張していますが、政府・与党は「現実的でない」といった理由で極めて複雑かつ政治的な取引に使われかねない軽減税率の導入を決めています。マイナンバー制度が活用できないことで、また社会の仕組みが複雑化してしまいます。

国民のプライバシーの確保の観点も踏まえつつ、より利便性を実感していただけるマイナンバー制度となるよう、引き続き議論を進めていきたいと思います。

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