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中野区政にも森友学園問題の余波?国有地購入に「減額措置」は適用されるか

立憲民主党 中野区議会議員の森たかゆきです。

昨日のエントリの通り、中野区の来年度予算は無事に可決成立しました。審議の過程で、私は今任期最後の予算特別委員会総括質疑を行いました。これから何回かに分けて質疑内容を報告します。今回は、用地特別会計で購入する矯正研修所等跡地の購入経費についてです。この土地は、平和の森小学校の移転用地として区が財務省から購入するもので、その金額は約101億円とされています。

国有財産特別措置法には、国が地方自治体などに土地を売り払う場合に減額譲渡ができるという定めがあります。

第三条 普通財産は、次の各号に掲げる場合においては、当該各号の地方公共団体又は法人に対し、時価からその五割以内を減額した対価で譲渡し、又は貸し付けることができる。

一 地方公共団体において次に掲げる施設の用に供するとき。

ハ 学校教育法第一条に規定する学校の施設(学校給食の実施に必要な施設を含む。以下「学校施設」という。)

国有財産特別措置法

この規定だけ見ると減額譲渡の対象になる可能性はありそうです。そこで、この土地購入では減額譲渡の適用はないのかという点を確認しました。区の答弁は、財務省通達の規定によって減額措置が適用されないこととなっているというものでした。具体的には、「未利用国有地等の管理処分方針について」という平成23年に財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛に出された通達の以下の規定に該当するとのことです。

第6 優遇措置の是正

1 基本的考え方

国有財産を処分等する場合において、様々な法律において優遇措置が適用できると規定されているが、こうしたもののうち、補助金的な性格を有する優遇措置については、国の財政事情が著しく悪化していること、対象施設が相当程度整備されてきていること及び未利用国有地等の地域的な偏在により受益面で不公平が生じていることを考慮し、限定的な運用を行うこととする。

2 具体的取扱い

(1) 売払いの場合

未利用国有地等のうち以下のものについては、優遇措置を適用せず、全面積を時価売払いするものとする。

ハ 国が移転経費を要した財産

二 平成 23 年 12 月 1 日付「国家公務員宿舎の削減計画」(以下「削減計画」という。)に基づき廃止された宿舎の跡地

通達全文はこちら

確かに、矯正研修所跡地部分については移転先の整備費を国が支出しているので「ハ」に該当し、公務員宿舎跡地部分部分については「ニ」に該当するでしょう。しかし、これはあくまで「限定的な運用を行うこととする」対象というだけであって、まだ減額措置の適用を求める余地はあるのではないか、100億円超という金額の大きさを考えれば、もっと国と交渉すべきではないかとも思われます。

一方、国においては森友学園問題を契機として国有財産の管理処分手続きをより明確化・透明化しようという流れがあります。平成30年1月の財政制度等審議会国有財産分科会に提出された資料には、国有財産の管理処分手続き等の見直しの方向性として「① 国有地の管理処分の手続きについて明確化を図り、その際、例外は極力作らず、仮に例外がある場合も限定的なものとし、その基準を明確に定めること」と記されています。単に「限定的な運用を行う」よりも更に厳しくしていく方向性であり、森友学園問題を受けて国がこの問題の取り扱いに相当慎重になっている様子が見て取れます。実際のところ、この動きが今回の国有地購入をめぐる国と区のやり取りに影響があったのかどうかはわかりませんが、ここまで言われてしまうと、減額措置の適用は現実的には難しいのだろうと判断せざるを得ません。

国有地売却に際して減額措置の適用を受けられるか否かの基準があいまいな状態では、例えば地元国会議員から財務省への働きかけで減額措置が適用され、その国会議員が首長に恩を売る材料にされるなんてことにもなりかねません。区財政的には厳しくても、国の国有財産の管理処分手続きをより明確化・透明化しようという流れ自体は歓迎すべきことでしょう。

なお、100億円で購入するとしても、都区財政調整制度の仕組みなどを使って全額が区の負担とはならないような方法を検討する余地はあるはずです。実際に事業が動くまでの間に、そちらの方向の検討を深めたいと思います。

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