森たかゆきのブログ

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待機児童ゼロという「低すぎる目標」を変えよう〜「 #保育園落ちた 」の悲劇をなくすために必要なこと

中野区議会議員の森たかゆきです。

今年も保育園利用調整通知の時期が来ました。私のところにも、結果のご報告がいくつか届いています。今年度は、1年間で例年の2倍ほどの定員を増やすことができたので例年よりは入りやすいかなと思いましたが、やはり年齢や地域によっては厳しい状況が続いているようです。保留通知を受け取った方は不安で仕方ないかと思いますが、毎年2次利用調整で決まる方も多くいます。我が家の場合は、2次で不承諾通知を受け取ってから3月末に補欠で小規模園に決まりました。個別相談も承りますので、ご連絡ください。

さて、待機児童問題はずっと社会問題になっていて、実は行政もそれなりに頑張っているにもかかわらず、未だに解決していないのは何故なのでしょうか。

中野区を含む多くの自治体では、行政目標に「待機児童ゼロ」を掲げています。酒井区長になって定められた「中野区の新たな区政運営方針」が先月末に議会報告されましたが、ここにも「待機児童ゼロを確実に実現する」方針が示されています。

「待機児童ゼロ」が実現している状態とは、具体的にはどのような状態でしょうか。それは、保育園の定員数が利用希望者数以上に用意されている状態のことです。そして、保育園の定員数と利用希望者数をぴったりイコールにすることはほぼ不可能です。つまり、待機児童ゼロの状態というのは、実は定員割れをしている保育園が存在することが前提になります。

私は、ここ数年の区政を見ていて、どうも行政はこの「定員割れの保育園」が出ることを恐れているのではないかと考えるようになりました。せっかく定員を増やしても利用されていなければ「無駄」である。こちらからお願いして誘致したのに定員割れになっては事業者に申し訳ない。こうした感覚があるのではないかと思います。(既に定員割れの園もありますが、殆どが「新規開設園の4,5歳児クラス」です。)だから、「待機児童ゼロ」を目標にしながらも、どこかでブレーキがかかっているようです。先月末の子ども文教委員会には、区有地を活用した保育園整備の中止が報告されました。

しかし、果たしてそれでいいのでしょうか。そもそも、「待機児童ゼロ」といっても、その定義にも問題があります。フリーランスや非正規雇用の方など、本当は保育園を利用したいけれどはじめから諦めていて申し込みをしておらず、利用希望者とすらカウントされていない方もいらっしゃいます。行政が「待機児童ゼロを目標にする」と言う時の「待機児童ゼロ」は、当然「定義上の待機児童ゼロ」のことを指しますが、それだけでは問題は解決しません。どんな働き方をしていても、その働き方に応じた保育サービスを利用できるようにすることが必要です。

また、待機児童問題があることで親御さんの関心は「我が子が保育園に入れるかどうか」に集中しがちですが、本来であれば、自分たちの育児・教育に対する考え方やお子さんの特性・性格と、その保育園の保育方針や教育内容がマッチしているかといったことを考慮する余裕がない現状は大問題です。保護者は預けられればどこでもいいと思っているわけではありませんし、子どもを最優先に考えるのであれば、その子に合った環境を保護者が選べる必要があります。

誰もが自分たちの働き方に応じた保育サービスを利用でき、また、子ども一人ひとりにあった保育施設が利用できる。こうした状態を理想とするならば、待機児童ゼロというのは「低すぎる目標」です。「誰もが働き方に応じた保育サービスを利用でき、子どもに合った施設を選択できる」状態を目標とすべきです。待機児童ゼロは、その目標を達成する過程で実現します。

そして、そうした環境を実現するためには、保育園の定員割れは「無駄」ではなく、子ども一人ひとりに合った保育施設の利用を保障するために必要な「バッファ」であるという理解を広く共有できるようにしなければなりません。場合によっては、定員割れをしても保育園の経営を続けていけるような保証制度のようなものも必要かもしれません。そうなると、子育て世代・保育園利用世帯以外の方にも、そうした税金の使い方に理解を得なくてはいけません。

私は、議会では行政に「目標の持ち方を変えること」を求めながら、地域では、そうした税金の使い方に理解を求める活動を進めていきたいと考えています。

みなさんにも、きっと出来ることがあるはずです。それぞれの持ち場で、共に頑張っていければと思います。

 

 

…と、ここまで書いてどうしても気になるのが「幼児教育・保育無償化」の影響です。無償化されたら保育園を使いたいというニーズもあるでしょう。待機児童ゼロという「低すぎる目標」の達成すら遠のくのではないかと危惧します。また、高額所得世帯ほど多くの保育料を頂いていることから、無償化は高額所得世帯ほど恩恵があり逆所得再配分にもなります。給食費の徴収が始まることになれば、園や行政の事務負担の増大も懸念されます。「無償化の前に全入化」もあきらめず求めていきたいと思います。

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