森たかゆきのブログ

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【区政の論点】区立幼稚園・保育園の存続は区内の幼児教育・保育の質の維持向上のためにも必要不可欠だ

中野区議会議員の森たかゆきです。

5月28日に中野区長選挙立候補予定者4名が揃っての公開討論会が行われました。
注目すべき点はいくつかあるのですが、今回は現職と新人3名の間で見解が分かれた区立幼稚園、区立保育園の民営化方針について書きたいと思います。
現職は区立幼稚園・区立保育園を全園民営化する方針です。このうち、既に2園しか残っていない区立幼稚園については、廃止の方針が示された後に保護者の方々から議会に「区立幼稚園の存続を求める陳情」が提出され、自民党以外の全議員の賛成で可決しています。(その際の私たち(当時の民進党議員団)の討論はこちらでご覧いただけます。)区立保育園についても、全て園の民設民営化を推進していく考えを示しています。

先日の公開討論会では、区長は「公立・私立の違いはない。幼稚園の制度、保育園の制度がそれぞれあって、公的な資金が投入されて一定の基準に基づいて運営されている。行政には監督権限があるのでそれを活かしていく。」と述べておられました。

私自身、保護者として私立区立の両方を経験していますが、必ずしも区立が良くて私立が悪いとは思っていません。私立の良いところも経験してきましたし、区立にもっとこうあって欲しいと感じているところもあります。

それでも、区立園は必要不可欠だと考えています。ポイントは、区長がおっしゃっていた「監督」の具体的中身に関係します。

我が子が私立園に通っていたある時、園長先生から「今日区の監査があったのですが、娘さんのご飯が月齢に比べて柔らかすぎると指摘されちゃいました。」と言われたことがありました。区の監査でそんなところまで見ているのか、と大変に驚いたことをよく覚えています。

また、先日は中野区が行なった保育の研修発表会があり、私もその成果を見させていただきました。認可園だけでなく認証園の先生にも参加いただいている会ですが、今年のその中で「喧嘩をしてしまった子どもたちに「ごめんね」「いいよ」と言わせることが自己目的化していないか。きちんと子どもの気持ちに向かい合えているか」といったことがテーマとなっていました。

「保育の質」というと、議会ではどうしても園庭のあるなし、保育士配置基準、一人当たり面積といった外形的に把握しやすいところに議論がいきがちですが、本当の意味での「保育の質」というのはこういうところが非常に重要なのだろうと思います。

確認したところ、監査にしても研修にしても、区立保育園の園長経験のある職員さんがリーダーシップを発揮してこのようなものができているそうです。これは、区役所内に幼児教育・保育のノウハウがあるからこそできることです。区立園を全園民営化して区役所内にノウハウがなくなってしまえば、こうした取り組みはできなくなって、監督といってもそれこそ外形的なポイントを確認するだけになってしまうでしょう。つまり、区立園の廃止は、質の高い保育を提供する公立園がなくなってしまうだけではなく、私立園を含めた全ての園の質を低下させていくことになります。公開討論会では、酒井直人さんが、すべて民間委託になっている地域包括支援センターについては既に区が評価することが難しくなっていると述べていました。こうした例からも学ばなければいけません。

今、国は自治体に対して公立園の民営化を促しています。例えば、老朽化した公立園の園舎を建て替えようとすると、そのタイミングで民営化するなら補助金が出るけど、公立園のまなら自治体の財源ですべて負担しないといけません。公立園を作るには民間園の6倍ほど財源が必要になるとも言われています。保育施設の総量を増やしていかなければいけない中、公立園ですべて対応するのは現実的には非常に難しい状況です。
それでも、これから数十年に渡って中野の保育の質を維持・向上させていくためには、区立保育園を一定数残していかなければならないと考えています。

 

公開討論会の様子
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