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【区政の論点】中野区の家庭ごみ有料化方針をどう考えるか

【区政の論点】中野区の家庭ごみ有料化方針をどう考えるか

現在、中野区は家庭ごみの有料化を進めようと検討をしています。この6月には家庭ごみ有料化の計画素案が出てくる予定です。中野区議会議員選挙の結果次第ではありますが、今の中野区政の状況が続けばおそらく1年後くらいには条例改正が行われて家庭ごみ有料化が実現するのではないかと思われます。

私は、下記の理由で家庭ごみ有料化の方針には反対をしています。

1.費用対効果が不明である
家庭ごみ有料化をすると、当然区の収入は増加することになります。しかし、一方で家庭ごみ有料化をすることにより増える支出というものもあります。例えば、現在の中野区内では殆どの地域でごみは集団回収(集積所にごみを集めて、事業者がそこから回収していく仕組み)を行っていますが、家庭ごみ有料化をすると、戸別収集が基本になります。1軒1軒をまわってごみを集める訳ですから、当然今よりも相当程度費用がかかることになると想定されます。また、これは残念なことですが、家庭ごみ有料化を行うと必ずと言っていいほど不法投棄の問題が出てきます。監視カメラを付けてその設置費用とランニングコストを払うのか、または、人を使って巡回指導のような形にするか、やり方はいくつか考えられますが、いずれにしても費用がかかってくることは間違いがありません。
家庭ごみ有料化を進めるというのであれば、最低限収入とコストがどれだけ増えるのかの試算を行い、その結果を公表すべきですが、区は「データがない」等といって試算も出来ていない状況です。費用対効果の分析もなく「家庭ごみ有料化をする」という方針のみを先に決定してしまうのは、拙速に過ぎます。

2.ごみ減量効果は限定的である
具体的な費用をどのくらいに設定するかにもよりますが、先行自治体の例を見ると、家庭ごみ有料化のごみ減量効果は大体1割減程度であるようです。また、有料化直後に減った分も、だんだんと元の水準に戻ってしまう傾向もあるようです。区のごみの排出量は、分別回収や資源化促進によりここ数年一貫して減り続けており、平成16年には80,357tだったものが平成24年には 62,919tになっています。一方、この減少率は年々低下してきており、有料化によるごみ減量の余地がどれだけ残っているのかも不透明です。

3.「負担の公平性」の判断の難しさ
家庭ごみ有料化を進めるロジックの中には、「頑張ってごみ減量に取り組んでいる人とそうでない人の費用負担額には差があってしかるべきだ」といったものもあります。しかし、例えば、我が家もそうですが、赤ちゃんのいるご家庭はおむつなどが出る分、そうでないご家庭よりもごみの排出量が増えるのは当然です。介護が必要な家族がいらっしゃるご家庭でも状況は同様かと思います。社会的な配慮が必要なご家庭ほど負担が重くなってしまうことが懸念されます。こうした問題に対して、区は「減免のあり方も考える」としていますが、そうすると今度は制度が複雑になり、コスト増を招く要因にもなります。
また、23区で家庭ごみの有料化を進めようとしているのは中野区だけです。中野区民1日1人当たりのごみ排出量は554gで、23区平均579gを下回っています(いずれも24年度)。23区平均よりもごみの排出量の少ない中野区民だけが、23区で唯一家庭ごみ有料化の費用負担を求められるというのも納得がしがたい点です。
更には、会社などから出る「事業系ごみ」は有料で処理されることとなっており小規模事業者のごみは区が処理していますが、この費用をきちんとお支払いいただいているのは全体の3割程度ではないかとみられています。「公平性」という観点からすると、まず是正すべきはここではないかと思います。

こうした問題があるにもかかわらず中野区が家庭ごみ有料化を進めようとする背景には、「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」に定められた「平成31年度までに平成16年度比でごみ量を半減させる」という目標の達成が難しくなっている状況があります。しかし、そもそも区がこうした目標を掲げているということをご存じの区民がどれだけいらっしゃるでしょうか。費用負担をしてまでこの目標達成をするべきだと考えている区民が多数派だとはとても思えません。
「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」は来年改定の時期を迎えます。まずは費用対効果の分析を進めた上で、この目標を維持していくべきか否かと言う点から、改めて議論を仕切りなおすべきでないかと考えています。

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